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~心の保健室だより~
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2023/12/11
メンタル・キャリア カウンセラーの部屋
間もなく新年を迎えようとしておりますが、1年の始めには、「今年の目標」を立てられる方も多いことと思います。みなさまは、その目標を達成することがどのくらいの割合で、出来ていらっしゃいますでしょうか? 目標を立てたとしても、実際に達成することが容易ではない、ということは、誰しもが感じておられることと思います。また、いつの間にか目標自体を忘れてしまったという人も少なくないでしょう。この原因として、目標の立て方に大きな問題があったのかもしれません。 | |
ここでは、どのように目標を立てたら挫折しにくいのかにつきまして、目標達成に役立つ目標の決め方や撤退基準の定め方について、米国の心理学に基づいた書籍等をまとめている情報がございましたので、ご紹介させていただきます。 |
【目標設定に重要な3 つのポイント】 | |
リラズ・マルガリット博士という方が、目標を達成した人とできなかった人とを比較し、目標の立て方にどのような違いがあったのかを調査しました。すると以下の3 点に大きな違いが見つかったそうです。 | |
➀ 目標の明確さ | |
従って、絶対に目標を達成したいなら、具体的で数字で表すことができるような目標を掲げるべきということが言えます。 また目標を設定するときは、 | |
➁ 行動に期限をつける | |
通常、目標に必要な期限は、目標達成までの期限を指します。例えば「半年後までに体重を5 キロ落とす」といったものです。 しかしリラズ・マルガリット博士は、日々の行動目標に「~時まで」といった時間的な期限を設定するようアドバイスされています。 例えば「8 時までにランニングする」「午後7 時までに健康的な食事をとる」といった具合です。このときに「8 時からランニングをする」といったように、スタート時間を明確にするより、終わりの時間を指定し、日々の行動目標を守ることが重要であるといわれています。こちらの方が自分との約束を破らないように設定しやすいものと考えるためです。 | |
➂ 前向きな目標にする | |
「ジャンクフードを食べない」といった回避傾向の目標設定をしてしまうことが、よくあります。 例えば「毎日小さなボールいっぱいのサラダを食べよう」と目標を立てるより、「ケーキを食べない」と設定した方がダイエットには効果的かなと感じてしまう人もいるでしょう。 しかし、目標達成がポジティブな評価になった方が、人は行動を続けやすいのだそうです。 例えばサラダを食べるという目標を達成すれば、より健康的に体が変化していることを感じることができます。一方で「ジャンクフードを食べない」という目標を達成したとしても、自分の行動にプラス評価をしにくいのだそうです。前向きな目標を設定し、それを日々推進することで、より状況が良くなっていく。そうした気持ちや実感が持てるように、目標を設定すべきなのだそうです。 |
【「撤退基準」が必要な理由】 | |
具体的な目標を設定したら、行動を始める前に、撤退基準も設定することが必要となります。 通常、問題が起きたときには、撤退よりも支援に動きがちになる傾向があります。例えば、仕事のプロジェクトがおかしいと感じても、なかなか撤退を決めることはできず、進行が遅れている部署の支援に力を入れたり、さらに予算を投入したりといったことをしがちになります。 既に投資した事業から撤退したくても回収できないコストがもったいなくて撤退できにくくなる心理を「サンクコスト効果」と呼んだりもしています。 こうしたバイアスを排し、感情的な判断を下さないためにも「撤退基準」の設定は大いに役立つようです。 | |
このように書くと、「個人の目標に撤退基準とか大げさなのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、撤退基準は単に目標に向けた行動を止めるだけではなく、今の目標をどこまで守り続けるのかを考える基準にもなるものだといわれています。 実際、「撤退基準」について書かれた海外の書籍では、結婚相手を探しているときには、結婚をなかなか承諾しないパートナーとは、いつまで付き合うのかを明確にしておくこと、2 回目のデートを断る基準を最初のデート前に明らかにしておくべきとの記述もあるようです。 もちろんダイエットや資格試験の目標設定で、撤退基準を定めることは難しいかもしれません。1 ヵ月で33㎏落ちていなかったら、もうダイエットは中止だというのでは、一向に体形は変わらないということになります。ただ、完全撤退が難しい目標でも、注意すべき信号を選定しておき、その都度目標を見直すと目標達成の可能性が高まるようです。 例えば、「毎朝7 時までに20 分走る」といった目標を立てていたとしましょう。このとき「朝寝坊が3 回続いたら目標を見直す」という基準を設けておけば、一度の失敗で目標を放り出す可能性が低くなり、より自分に合った目標を設定することができます。「朝走るのが難しいなら夜に走ってみよう」「20 分がキツイなら10 分にしてみよう」等々です。やり方や目標値を変えるだけで継続的に取り組むことができるかもしれません。目標を立てた後は、自分の目標に向けて動けないパターンを想定し振り返る基準をつくっておくとよいでしょう。 逆に目標をあきらめるギリギリの基準として、撤退基準を使うことも可能のようです。例えば資格の学校に通っているのに、試験の点数が振るわず、勉強時間も取れず、会社でも忙しい日々が続いたら通うのをやめようかと考え始めることもあるかもしれません。しかし「月3 回、学校に通えているならやめない」と決めていれば、通学を継続することはできると思います。来年の合格に向けて少しずつ勉強すると決めれば、自分を責めることもないでしょう。 | |
いずれにしても、こうした撤退基準を、事前に決めておくことが重要です。 | |
目標達成のために、日々の行動を一定レベルまで引き上げる必要があるならば、今年の目標を設定する時に、よろしければ、撤退基準を定めてみてはいかがでしょうか。 |
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