事業場外みなし労働時間制って何ですか??

テキスト版

Ⅰ.今回の課題
◎◎株式会社営業部で働くAさんより質問がありました。
「当社は、みなし労働時間制ということで、残業代が定額で出ていますが、携帯電話で時間管理はできるはず。だから「みなし」は適用にならないのではないですか?」と。
Aさんをはじめ営業部の社員は、ほとんど毎日直行直帰することが多く、顧客への営業活動も一人で出向くことが多いので、事業場外のみなし労働時間制を採用してきたのですが。 確かに携帯電話で労務管理をできなくもない状況なわけで・・・・。
この状況で、事業場外のみなし労働時間制は適用になる、と言えるのでしょうか。


Ⅱ.制度について
まず、この場合は「事業場外のみなし労働時間制」が適用となるか否かの判断をすることになります。
この制度は、労基法38条の2において、「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を越えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす」とあります。


Ⅲ.今回の課題と対策のポイント
まず、「労働時間を算定し難い状況か」を検討する必要があります。 今回のケースでは、携帯電話を貸与していただけなので、労務管理を行っている状況とは言えません。
それを用いて会社と連絡を取り合うことが可能というだけでは、「算定できる」状況ではないと思われます。ただし、今後、営業活動中にリアルタイムに会社から指示・連絡などが入るような場合になれば、携帯電話の利用により算定が可能との判例もあります。 Aさんには、当面の営業活動体制はこのままでいくので、労働時間の算定はし難い旨を伝え、「事業場外のみなし労働時間制」は適用になることを話し、納得していただきました。 事業場外のみなし労働時間制が適用になるかどうかは、どのような時間管理、業務の管理を行っているのか、総合的に勘案する必要があります。
また、時間外労働時間も「みなし時間」に含んでいる場合、労使協定を作成のうえ、労基署に届出を行わなければいけません。 「みなし労働時間」の考え方など、ご不明な点がありましたら、ブレイン・サプライにお問合せください。


(山岸 芽里)

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