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平成28年8月号

query_builder 2016/08/01
サプライ通信

岡社長の今月のアドバイス
『社内のルール作りの目的とは?!』
『リスクマネジメントの重要性』
『信じる力』

事業承継『大丈夫ですよね!オーナー経営者様』
第4回 悩ましい自社株式の移動

労務の寺子屋
『募集・採用時に年齢制限をかけることはできるの?』
セミナーアンケート
7月開催自社セミナーにご参加いただいた皆さまのご感想
関西事務所だより No.20
『産業カウンセラーの視点から ③』
~総務のメモ帳~
8月以降の変更点を確認しておきましょう

今月のご縁むすび
『元LAWSON ジャパン社長 
都築 冨士男 様』

お知らせ
今後のセミナー予定 (関西事務所)

≪社内のルール作りの目的とは?!≫

社内のルール作りの際に、最も留意しなければならないことは、お客様の為、会社のために頑張って働く社員の居心地を良くすることを目的に、ルールを作るのであって、人の足を引っ張る社員、人に悪影響を及ぼす社員の居心地を良くするためのルール作りをしてはいけないということです。


そのためには経営者は、社内の統制に留意し、コンプライアンスの遵守を掲げ、公明正大に事業に邁進することを社内外に宣言することが求められます。
 一般的に社内でのルール作りに携わっておりますと、真っ先にルールを破るのは経営陣であることが多いです。自分は例外だとの甘えがそこには見られます。経営者の皆さんは、真剣に社内の改革を行いたいと思われるのであれば、最低1年間はルール遵守を行っていただき、率先垂範を実行していただきたいと思います。

社員は、経営者のその取り組み姿勢に打たれて付いてきてくれるようになります。
経営者のルール作りに共鳴した社員は、会社の方針を理解し、積極的に働くようになります。
そのような社員への適正な評価を実行していくことで、経営者の求心力は高まります。そして特に社長の求心力が高まってきますと、社内の雰囲気が徐々に良くなってきます。
 会社の雰囲気が良くなってきますと、不満分子はマイナスのエネルギーを発散できません。
周囲の社員が醸し出すプラスのエネルギーによって、自分の仲間を増やすことが出来なくなるのです。

そうなると、負のオーラを纏った(まとった)社員は居場所がなくなって、居心地が悪くなり、会社から自然と去っていきます。我々が関与させていただくお客様の多くが、時間の経過とともに、社風が改善してくるようです。その多くが、経営者や管理部門の社員の皆さんが、自社の問題を直視し、真正面から立ち向かわれるようになるからです。

問題社員に対して、少しでも逃げの姿勢や苦手意識を持ちますと、人間は無意識に力関係における距離感の維持を行使してきますので、相手の方が優位に立ちます。その関係を放置してしまうと、組織の中では取り返しのつかない状況に追い込まれてしまいます。
 社長と社員の適正な距離感を無視して、会社の弱みを追求してきたり、お客様に会社の悪口を言いふらしたり、社内の管理システムが緩いと、不正に手を染めてきたりします。
 経営者が社内のルール作りを行うことなく強圧的な姿勢を持ちますと、弱者を装いながら復讐戦を仕掛けてきて、収拾がつかなくなってきます。

このような労働問題の発生は、いわば社員の謀反と言えると思います。経営者の皆さんは、社員の謀反に対して、大義名分を与えてはいけません。特に最近は通信費が安くなり、ネットを通じて常に情報のシャワーを浴び続けている社員が大多数であることを忘れてはいけません。

我儘な社員には、会社の愛情は見えません。
① 給料をもらって当たり前
② 賞与をもらって当たり前
③ 休暇をもらって当たり前
④ 労働保険・社会保険を支払ってもらって当たり前
⑤ 退職金をもらって当たり前
⑥ 辞めた会社の取引先に営業を仕掛けても構わない
etc・・・・。
このような「当たり前」の感覚を排除し、「お陰様」の感覚を社内に満たさなければなりません。
上記の①~⑤はいわば社員の権利に属する部分でもありますが、社員には義務も課されています。その代表的なものだけでも、

(1) 労働を提供する義務 (労働義務)
(2) 誠実に労働する義務 (誠実労働義務)
(3) 使用者の業務命令に従う義務   がメインですが、さらに誠実労働義務の中には、
(4) 職務専念義務
(5) 業務を促進する義務
(6) 忠実に労働する義務    が含まれます。

また使用者が多数の労働者を組織的に労働させている場合は、労働者は
(7) 使用者の人事権に従う義務
(8) 職場規律を維持する義務
(9) セクハラ・パワハラ防止義務   の義務を負います。 
さらに労働者は、労働契約の付随義務として、信義則上
(10) 使用者の名誉・信用を毀損しない義務
(11) 使用者の秘密を守る義務
(12) 競業避止義務

社員には権利と義務がある。この当たり前のことを、社員に周知している会社が余りにも少ないことが原因で、我が国の体力が弱まっているのではないかと感じます。経営者の皆様におかれましては、謀反を起こす社員に大義名分を与えることなく、コンプライアンスを遵守し、公明正大に事業を行っていくことを改めて意識していただきたいと思います。

この問題の解決こそが、今我が国に求められている課題の一つではないでしょうか。

欧米型のビジネス世界の中では、損得勘定での会社運営でも継続は可能です。しかしながら我が国のビジネス習慣は劇的に変化してきています。ジャパニーズスタンダードが今後、我が国だけでなく、世界中に拡散していくように感じます。

このジャパニーズスタンダードとは「謙虚さ」と「正直」と「誠意」と「おもてなし」と「お陰様」です。

いつでもご相談ください。ブレインをサプライします。

≪リスクマネジメントの重要性≫

カレーチェーン「CoCo(ココ)壱番屋」を展開する壱番屋は13日、異物混入の疑いがあるトッピング用の冷凍ビーフカツが廃棄を頼んだ産業廃棄物処理業者によって横流しされ、約5千枚が愛知県のスーパー2店で販売された、と発表した。混じった可能性があるプラスチック片を口に入れてもただちに健康被害が出ることはないが、廃棄を頼んだ際に冷凍状態から一度とけており、傷んでいる可能性があるという。
 混入の疑いがあるカツは約4万枚。5枚1組で透明な業務用包装をしてあり、「ビーフカツ」「賞味期限16・01・30」と書かれている。届け出を受けた愛知県によると愛知の2店で約5千枚が販売済み。約300枚は店に残っていた。約7千枚が堆肥(たいひ)になり、約2万8千枚の行方は調査中。廃棄物処理法などに触れる疑いがあるという。壱番屋は県警一宮署にも通報した。
 壱番屋によると、問題のカツは昨年9月2日に同県一宮市の自社工場で作った。パン粉を混ぜる機械のプラスチック製の棒が8ミリほど欠けているのが見つかり、壱番屋はこの日ここで作ったカツ4万609枚の廃棄を決定。同県稲沢市の産廃処理業者「ダイコー」に10月19日に渡した。
 しかし、壱番屋や同県によると、今年1月11日、同県津島市のスーパー「Aマートアブヤス」神守店の店頭で、壱番屋のパート従業員が冷凍カツを発見。壱番屋のカツ、との広告が掲げられていた。名古屋市中川区にあるAマートの春田店の店頭でも見つかった。
 壱番屋がダイコーにただしたところ、Aマートではない複数の業者に売ったと認めた。「親しい人から、ほしいと頼まれた」との説明を受けたという。
 ダイコーの販売先の一つは、愛知県から連絡を受けた岐阜県によると、同県羽島市の「みのりフーズ」。岐阜県の調べに、同社の食品衛生責任者は「私の独断でダイコーと取引した。箱を詰め替えて愛知県の個人1人と企業2社にすべて売った」と話した。壱番屋と書かれた段ボール約800箱が、みのりフーズで見つかったという。Aマートがみのりフーズから買ったかは明らかにされていない。

昨年から今年にかけて発生している企業の不祥事とは、一線を画する壱番屋のナイス対応です。一方、廃棄処分の委託を受けた業者の社長を含む関係者には、逮捕状が出されたそうです。

企業のリスクマネジメントはかくあるべしの典型的な事例です。この対応の発想の原点は「お客様起点」であり、同社では、CSやホスピタリティーの考えが浸透しているのでしょう。

元経営者の宗次徳二氏の思想が表れていると思います。マスコミが寄ってたかって外食界の優等生であるCoCo壱番屋を潰しにかかってきましたが、見事に跳ね除け、逆手にとって信用を高めました。

コンプライアンスとリスクマネジメントの重視は私の昔からの持論です。一見儲からないように思われるかもしれませんが、この2点を重要視しておりますと、お客様と社員から信用を得ることが出来ます。そして事業を長く継続運営していくことが可能となります。今回の事件は、多くの経営者の皆さんに学んでいただきたい事例です。物事の判断の基準は、「損か得か」ではなく、「善か悪か」で判断すること。厳しいと感じるかもしれませんが、これを実行されている人は成功している人が多いように思います。判断に迷う時というのは、自分が試されるときであり、自分が成長できる大きなチャンスでもあると思います。そのチャンスを生かすも殺すも自分次第です。

是非ブレない自分を作り上げ、判断に迷わない、強い自分を作り上げていっていただきたいと思います。

≪信じる力≫


①大山峻護さん



②当社主催でお客様向けに「ファイトネス」実施


【格闘家からビジネスへ】

ビジネス前夜。桜庭和志との出会いが生んだ格闘家としてのキャリア。

大山峻護(おおやま しゅんご)
栃木県那須郡出身。元総合格闘家。
第28回全日本実業柔道個人選手権大会・男子81kg級優勝、2000年 全日本アマチュア修斗選手権 ライトヘビー級 優勝を経て、総合格闘技に転向。2001年PRIDE参戦。主な対戦相手は、ヴァンダレイ・シウバ、ヘンゾ・グレイシー、ハイアン・グレイシー、ミルコ・クロコップ。2004年にはK-1・HIERO'Sに参戦。ピーター・アーツに勝利。2012年ROAD FC初代ミドル級チャンピオンとなる。
引退後は、格闘技とフィットネスを融合した新しいタイプのトレーニングプログラム「ファイトネス」を立ち上げ、トレーナーとして企業や学校、個人に広く展開。
座右の銘は、"ALL INTO POWER"(「すべてを力に」)。

ファイトネスホームページはこちら

元格闘家の大山峻護さんとは、今年の1月7日にお会いし、ご縁をいただいてからのお付き合いです。その大山さんが「ビジネスノマドジャーナル」の取材を受けられましたのでご紹介したいと思います。

幼少の頃ウルトラマンに憧れて強くなりたいと考え、柔道を始められたそうです。大山さんとは個人的な趣味(不思議な世界への探求心)においても馬が合いました。大山さんは、アカデミー女優のシャーリー・マクレーンの処女作「アウト・オン・ア・リム」(山川紘矢・亜希子訳)を読まれたことがきっかけだったようです。私が不思議世界へ興味を持ったきっかけは、小学生の時、兄が買ってきた本で「魔の川・アマゾン」(中岡俊哉著)でしたが、その後社会人になってから出会った本が「前世療法Ⅰ、Ⅱ」(ブライアン・L・ワイス:山川紘矢・亜希子訳)でした。

翻訳者が同じ山川紘矢さん・亜希子さん夫婦でしたが、なんとお知り合いだということで、大山さんご夫婦(これまた美しい奥様です!)のセッティングで、3月に山川紘矢さんとご縁をいただきました。人生を変える良書との出会いは何物にも代えがたいものです。また大山さんの行動力は、私のはるか上をいってらっしゃいまして、インドの聖人・故サティア・サイババにも会いに、プッタパルティーまで行かれ、更には幸運なことにサイババと面談を果たされたそうです。羨ましい限りです。

その大山さんの行動の源は「信じる力」「信じる心」だそうです。

「才能のある選手って、ゴマンといるんですよ。でも、みんな、途中でやめてしまう。 僕なんて、才能は無かったし、特別体力があったかと言われたら、そうでもなかった。でも、強くなりたいという強い思いをずっと継続できたことが、全ての要因だったと思います。」

まさに《継続は力なり》です。

またある時、今後の目標を聞かれたときに、「ピーターアーツと闘って、秒殺したい。」とリアルな感覚で答え、ずっと対戦を信じてベストコンディションで備えていたところ、本当に7か月後、対戦の9日前にオファーがあり、実際に対戦が実現し、30秒で勝利してしまいました。私もこの対戦をTV観戦しており、感動したことを覚えています。「信じる力」恐るべしです。

普通、皆さん、過去の積み上げを見ながら未来を選択していくじゃないですか。
「これぐらいまでやってきたから、きっとこれぐらい。だから『これぐらい』やらなきゃ『これぐらい』までいけないな」って。僕には、その思考がないんですよ。

なので、「ここに行きたい」と思ったら、「ここに行きたーい!」と走るんです。ほんとシンプルなんですよ。
でも、そのおかげでたぶん、僕はあの舞台で闘えた。今は、そう思いますね。
それに関しては、ほんと、バカになれるんです。小さい頃、ヒーローになりたいと思ったら、それしか見えなかったように。それが結局、僕の強みだと思います。
世の中の人たちは、よくそういう姿を「天然」だとか「純粋」と言いますよね。でも、僕、この感覚って、とても大事だと思うんです。
子供の頃って、「こうなりたい!」って思ったら、ただただ「こうなりたい!」て信じることができましたよね。それが、途中、どこかで「積み上げ思考」だけを重視する方向に変化してしまう。僕は、どちらも大切なものだと思います。

一つの世界を極められる人とは、「信じる力」を継続して持ちあわせることのできる純粋な人のような気がします。

P4写真②は、今年の3月17日に実施したファイトネス実施の際の写真です。運動不足の昨今、格闘技を取り入れたこの新しいフィットネスは、脳の活性化、人間関係の構築につながり、職場環境を良いものに導く効果が期待できます。当社でも、秋以降に社員全員参加で実施を予定しています。

皆さんも自社で取り入れてみませんか。自信を持ってお勧めします。



第4回 悩ましい自社株式の移動


今回は大都市圏の中小企業での自社株式事例をご紹介します。
この企業は先々代(会長のお父様)が創業された物流系の会社です。
ご相談主である三代目の現社長が後を継いで業績は順調に推移しています。
経営者一族の家族構成をご覧ください。


約10年前に会長は健康に不安を抱くようになり、長男を社長に据えました。
長女と次女は既に嫁いでいますが、ふらっと会社に立ち寄り、弟である現社長や社員に何かにつけ小言を繰り返しています。長女と次女は役員や社員ではありません。
会長に退きましたお父様は自社株式の80%を保有し、経営への関与は変わらずです。残りの自社株式は、お母様が5%、社長が5%、長女5%、次女5%です。自社株式の移動や分散について会長は真意を示さないため、社長は困惑しています。
また、会長は常々、「相続は平等」にすることを口にしています。
ご自身が先々代の跡を継いだ時に「長子相続」的であったため、他の親族から反感を持たれたことも影響しているようです。
自社株式や会社経営、兄弟姉妹の関係など、日々お悩みの社長は仕事に集中することで気を紛らわせていました。

お父様(会長)は高齢であり、社長は事業承継対策を真剣に考えなくてはいけないという思いがあり、ご相談に至りました。

【ご相談内容】

(1) 父は、自社株式の移動の話をするといつも怒り出してしまうので、どうしたら良いのか悩んでいる。
(2) 姉2人は株主であることを口実に、事あるごと会社経営に口を挟んでくるため、自分の他、社員も煙たがってしまい困っている。
(3) 関与税理士には2年前に株価算定をしてもらっているものの、具体的な自社株式対策の提案は無い。
(4) 何とか、会長に自社株式移動の説得をしてもらいたい。
(5) 併せて、姉たちへの対応策を考えてもらいたい。

社長の「お悩み」をお聞かせいただくうちに、私の頭に浮かんだことは、
① 先代は「死ぬまで経営者でありたい」という強い願望をお持ちであること。
そのため、自社株式の話には敏感に反応され、感情的になってしまう。
このままではスムーズな自社株式移動は困難。
② 姉二人が口出しをされるほか、お父様(会長)も経営に関与されるため、社員たちは誰に顔を向けていれば良いのか、混乱している。
船頭が多くなると経営は上手くいきません。

今回のケースでは、どのようなことがポイントになるのでしょうか。
効果的な対策を講じるためには、「事業承継とはどのような事」、「事業承継のマイルストーン」「これまでの経緯(背景)」、「阻害している事(原因や要素)」をまず確認します。一見複雑に思う事も、シンプルに考えると先が見えてくるものですから。

Ø 事業の承継とはどんな事なのか

事業承継の全体像から見てみますと
ご相談は、まさしく「自社株式の移転」そのものです。
既に「後継者の選定」、「ノウハウ維持」は完了しています。
他に、漏れは無いでしょうか?

自社株式の移転は「相続財産」の移転と表裏一体であることに気づかれましたか?
絶対的な経営権を確保するには、発行済み株式のうち「議決権のある発行済み株式」を「3分の2以上」保有することが必要でした。
後継者は絶対支配権を持っていないと、小田原評定ではありませんが、意思決定は遅れ、会社経営は混乱しますし、社員の求心力や取引先・金融機関の信頼も失うリスクもあります。

<事業承継の全体像を俯瞰すると>


次に、マイルストーンの観点からみてみると

Ø 事業承継のマイルストーン


おおよその状況をお聞かせいただいたところで、次のアドバイスです。

² アドバイス1 「感情と心理に配慮」

自社株式の移動では、後継者に株式を集中させるため、「評価を下げる」、「生前に贈与する」、「相続税精算課税制度を活用する」など、皆さんも思い浮かぶことでしょう。
少し心理的な観点に軸足を移してみます。最大株主である会長(父)の心理、会長夫人(母)の思い、そして姉達の思惑を推測してみましょう。
人は「得」をする事よりも、「損」をすることに対して2倍近く敏感に反応すると言われています(ダニエル・カーネマン、行動経済学)。「損」をしたくない心理、「警戒心」ともいえるかもしれません。この警戒心をいかに軽減していくかがポイントになりそうです。親族(=利害関係者)の立場から、それぞれへの接し方を検討します。

(1)父(会長)への接し方

『あえて自社株式の話をしない』
会長は自社株式の話をすると機嫌が悪くなるとのことでした。つまり、会長にとってみると「触れてほしくない話題」なのです。たぶん会長は死ぬまで「オーナー(=所有者)」でいたいのでしょう。ご自身の立場が危うくなる(=「損」)事に敏感なのかもしれません。
また、相続や事業承継の対策を考えるのは「早い」と考えている、或いは、これも触れてほしくない話題と思っているのでしょう。ご自身が他界されることは誰しも考えたくない事ですから。
さらに、子供たちには平等に財産を相続させたいとお考えのようです。ですから、あえて自社株式の移動についての話をすると、長男だけが有利になり、長女と次女は不利になると感じて、却って感情を害してしまうリスクが大です。感情面で一旦こじれますと、修復にはかなりの時間を要します。そのため、「あえて自社株式の話はしない」ことが得策になります。
会長は末永い会社の存続をお考えのようですから、波風を立ててしまうより、相続の際に後継者である社長へ自社株式が自然に移動するよう「時期を待つ」ほうが良いのです。

(2)母(会長夫人)への接し方

『協力者、理解者になってもらう』
会長夫人の心理も推測してみましょう。
長年連れ添っているので父(会長)の気質を良く分かっていますので、説得者として最適だからです。また、母親の心理として親族間の揉め事は避けたいと思っているでしょう。特に、財産分割で揉めてほしくない気持ちを強く持ち、兄弟姉妹は仲良く暮らして欲しいと願っていると思います。
父だけではなく、姉2人に対しても母は「一定の影響力」を持っているでしょうから、弟である社長を助けて会社を盛り立てるように、言って聞かせることもお願いしましょう。
注意すべきは、『姑と嫁(社長の妻)』との関係です。娘である長女と次女とは喧嘩もするでしょうが、「我が子」ですから気を許す、頼りにしていると思います。一方で嫁は「他人」ですので、姑として「好ましくない感情」を持っていますと、これまた騒動の火種になります。
後継者である社長が観察しておく、或いは気遣うのは、この「姑と嫁」の関係です。姑と上手に付き合っておけば会社を円滑に引き継げることを時折ささやいておきたいものです。

(3)姉(長女、次女)への接し方

『感謝の気持ちを言葉で伝える』
姉2人は会社を継ごうとする気持ちはもとより無い様です。会社に立ち寄り小言を云うのは、ご自分達の存在を示したい現れ。姉妹ですから横のつながりは強いと思われ、いろいろな情報や不平・不満を言う間柄でしょう。
何が不満なのか、探ってみる価値はありそうです。中々、話してはくれないでしょうから、「弟である社長にとって良かれと思って、口出しをしたりする」と社長は受け止め、「自分(社長)が言いにくいこと言ってくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝え、さすがと「褒める」のも手でしょう。
頼りにされ、好意を示すと、「人は何かお返しをしたくなる」ものです。「ほかに気になる事は何かない?」など、さりげなく語り掛けてみてはと思います。かわいい弟を演じることですね。

(4)従業員やパート・タイマーへの接し方

『生の声を聴く、しかしおもねらない』
生の声を聴く、「どうしたらいいの?」となりますね。でも、それほど難しいものではありません。
こんな風に尋ねてみては?
① 「上手くいっていることは?」
② 「上手くいっていないことは?」
③ 「やってみたいことは?」
④ 「気になることは?」など、
思いつくままに聞かせてもらうのがコツです。そして、聞いた話はしっかりと目の前でメモるのです。
自分の話をしっかり受け止めてくれている人には、自分を理解しようとしていると感じて気持ちよく語ってくれるものです。慣れるまでは多少ぎこちなくても気にしないこと、背伸びをせず「素」のままの社長を見せましょう。
ただし、従業員やパート・タイマーの「顔色」を窺うような姿勢や言動はNGです。そのような姿勢や言動をしていると「なめられます」ので。

信頼されるためには、姿勢や言動だけでは限界もあります。
なぜなら、従業員やパート・タイマーは給料をもらうために働いているからです。働きに報いる処遇をして欲しいと思うのは従業員やパート・タイマー、賃金に見合った働きをして欲しいと思うのは雇用主である経営者。互いの判断基準が異なるのですから。
このような判断基準の差異(=「溝」)はどうやって埋めていけば良いでしょう。「透明」で「納得感」のある評価をして、資源である「金銭(=賃金、賞与)」を適切に分配するようにすれば、「顔色」を窺うような経営をしなくても済みます。ポイントは、人事評価制度と賃金体系の見直しにあります。

² アドバイス2 「親族内で溝をつくらない」

同族会社で特に注意しなければいけないことは、「利害関係」にある人の「対応」です。
アドバイス1でも述べましたが、同族会社は「家族(親族)」を基盤にしているので、「株主」、「親族」、「経営」の3つの要素が重なり合っています。


同族会社のメンバーには複数の法定相続人も存在します。つまり、「財産」の引継ぎ、「経営」の引継ぎ、「自社株式」の引継ぎ、の3つが同時に発生するという事です。ここに、父の心理、母の思い、姉達の思惑が現れてきませんか?
円満な相続と事業承継のためには、誰が、どの役割を担うのかを整理することは大切なのですが、「後継者以外の利害関係者の立場は変化」しますので、配慮をしなければ物事は上手く進みませんし、「親族内の溝」を深めてしまいます。そのため、アドバイス1でお伝えした「親族の感情や心理」、言い換えれば「不安」や「猜疑心」を発生させないことが重要になってきます。
テクニカルなこと、税金に眼が行きがちになりますが、人は「感情」の生き物であることを忘れないようにしましょう。

² アドバイス3 「税制面の支援措置を有効に活用」

感情や心理の次に、スムーズな事業承継対策を考えておくことも大切です。
そこで、制度のあらましを社長と一緒に確認です。

【制度の概要】
相続税の特例措置 「非上場株式にかかる相続税の80%納税猶予制度」
概要は、「後継者(相続人)が相続により非上場会社の株式を取得して、この制度の要件を満たす場合には、後継者が相続前から、すでに保有していた議決権株式を含めて、発行済完全議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分について、課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予される制度」です。
贈与税に特例措置 「非上場株式にかかる贈与税の納税猶予制度」
概要は、「後継者が、先代経営者から一定以上の自社株式の贈与を受け、この制度の要件を満たす場合には、贈与前から後継者がすでに保有していた議決権株式を含めて、発行済完全議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分について、贈与税の全額の納税が猶予される制度」です。

今回のご相談では、自社株式の話は避けたいというのが、最大株主である会長(父)の意向でしたので、「相続税の特例措置」を選択することになります。今後、会長のお気持ちが変われば「贈与税の特例措置」も検討の余地が出てきます。

<参 考>
先代経営者の要件:会社の経営者であること。
         先代経営者と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、かつ、特別関係者内で筆頭株主であったこと。

後継者の要件  :先代経営者の親族に限らない。
         相続開始直前に対象会社の役員であったこと。
         後継者と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、かつ、その同族関係者内で筆頭株主となること。
         相続のあった日から5ヵ月を経過する日に会社の代表者であること。

対象会社の要件 :中小企業基本法の中小企業であること(特例有限会社、持分会社も対象になります)。
         非上場会社であること。
         資産管理会社でないこと(有価証券、自ら使用していない不動産、現金・預金等の特定の資産の保有割合が資産の帳簿価額の総額の70%以上の会社、これらの特定の資産からの運用収入が総収入金額の75%以上の会社を資産管理会社といいます)。
         従業員数が1名以上であること。

今回のケースでは、参考に記載してある要件を満たしていますので、事業承継税制を有効に活用することを検討する価値は大いにあります。

² アドバイス4 「遺産分割をめぐるトラブル対策は忘れずに」

事業承継対策は「遺産分割対策」であることを忘れてはいけません。
例えば、次のような遺産分割になった場合は、どうなるでしょう?


このようになってしまっては、円滑な事業承継は無理になります。

会社の存続を考えると、後継者には自社株式や事業用資産(土地、建物、機械、什器・備品)を相続させることになります。しかし、他の相続人である長女、次女は、法定相続分に応じた財産分与を受けることが難しくなります。
平等相続を主張して、法定相続分通りの遺産分割を求められた場合、事業用資産を譲る、あるいは売却して現金化を図ることは、会社経営に大きなダメージになり現実的ではありません。

会長の財産の全容は不明です。自社株式のほか、土地、建物、有価証券(自社株式以外)、預貯金などが有るでしょうが、すべて換金しやすい、或いは分割しやすい財産とは限りません。

そこで、代償分割の出番になります。代償分割は、共同相続人のうち一人または数人が特定の財産を取得して、他の共同相続人に「代償交付金」を支払うものです。遺産をめぐる争いの解決に有効な方法です。
なお、代償交付金を払うことを遺産分割協議書に記載しておかないと、贈与税の対象になりますので注意が必要です。

【代償分割の例】


後日談

社長と面談し、上述のアドバイスをしてから、約半年後のことでした。「会長が面談を希望しているので、会ってもらえないか」、「会長は私とone to oneの面談を希望している」という、連絡が社長からあったのです。これもご縁と考えて、お会いすることにしました。

【会長との面談概要】 (1)息子は後継者としてちゃんと会社を経営していけるだろうか?
   私の代や、息子の代で会社を畳むわけにはいかないし・・・
   ➡<私>社長の力量は、パート・タイマーが良く見ているので、感想を聞いて
       みると良いと思います。
       多分、頼りになる経営者という声が上がると思います。
       経営権の確保が出来ないと、会社を継ぎたくなくなるリスクもありま
       すので、少なくても、自社株式の移動を会長ご存命中から着手されて
       はいかがでしょうか。
  <会 長>自社株式の事や、経営のすべてを任せることを考えてみる。

(2)平等な相続は可能だろうか?
   ➡<私>すべて現金や現金同等物で分与するならば「平等」になるでしょう。
       しかし、そのような財産ばかりでは有りません。
       平等にというのは理想ですが、現実には難しいものです。
       遺産分割の方針やお考えを明確にしておくことをお勧めします。
       そのためには、プラスの財産(資産)とマイナスの財産(負債)の
       たな卸しをお勧めします。
       その上で、「誰に」、「何を」、「いくら位」分割するのか、お考えを纏め
       ておかれては如何でしょう。
  <会 長>そうか、なかなか面倒くさいなあ。
       でも、そろそろ考えて置かないといけないのだろうな。

(3)遺言書の作成は必要だろうか?
   ➡<私>「誰に、どの財産を、いくら」、分割するのか明確になるので、分割を
       めぐる争いの防止には有効です。
       お考えが纏まるまでは「自筆証書」遺言を、お考えが纏まってから「公
       正証書」遺言の作成をお勧めします。
  <会 長>揉めない工夫、必要だな。

このようなやり取りがあり、概要を社長にお伝えしましたところ、安堵の表情をうかべました。会長はこの後、本格的な自社株式の移動を開始されました。

(岩井 良輔)



~募集・採用時に年齢制限をかけることはできるの?~

日本全国の多くの企業が業種を問わず、ある一定の年齢を設けて人材の募集・採用を行いたいと考えていることと思います。特に企業側からすれば、できるだけ会社に長く働いてもらうことを想定しているため、若年者を中心に採用する傾向が多いかと思いますし、求職者についてもできるだけ長く働き続けたいと考えていると思います。
では、企業として希望する人材を募集するにあたり必要な人材の絞り込みを行うための年齢制限を設けた募集は可能でしょうか。

人材の募集・採用に関する労働法の一つに「雇用対策法」という法律がありますが、平成19年10月の雇用対策法の改正により、原則として年齢制限を設けた募集・採用は禁止されることとなりました。具体的には、募集・採用をする際に係る職務内容、職務を遂行するために必要とされる求職者の適正、能力、経験、技能の程度等をできる限り明示することが求められます。例えば、長距離トラックの運転手を募集したい場合に、単純に「50歳以下の人を募集」とすると、年齢制限を設けることに関する必要性や募集要項に具体性が無いため認められません。具体的な表記例としては、「長距離トラックを運転して、札幌から大阪までを定期的に往復し、資材(○kg程度)を上げ下ろしする業務であり、この業務を継続していくためには、持久力と筋力が必要です。」等の具体的な適正、能力、技能の程度を明確にする必要がありますが、年齢制限については認められませんので「年齢不問」とする必要があります。

その年齢制限の禁止の例外として以下の3つの要件のいずれかを満たす必要があります。

例外(1) 定年年齢を下回ることを条件として募集・採用する場合(期間の定めのない労働契約を締結する場合に限る)
認められる具体例としては、「60歳未満の者を募集(定年が60歳のため)」であれば定年年齢を下回った募集ですので認められます。逆に認められない具体例としては、「40歳以上60歳未満の者を募集(定年が60歳のため)」とすると下限年齢が設けられているため認められません。また、「60歳未満の者を募集(定年が62歳のため)」とした場合も上限年齢と定年年齢が一致していないため認められないことになります。

例外(2) 労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
 認められる具体例としては、「18歳以上の者を募集(労働基準法第62条の危険有害業務のため)」とした場合は、そもそも労働基準法で18歳以上の者を対象とする業務に指定されておりますので年齢制限を設けることが可能となります。

例外(3) 年齢制限を設けることに客観的に合理的な理由がある場合

合理的な理由① 長期勤続による職務に必要な能力の向上及び開発を図ることを目 的として若年者等を採用する場合(期間の定めのない労働契約を締結する場合に限る)

認められる具体例としては、「来年3月大学卒業予定の者を募集」、「25歳未満の者を募集(職務経験不問・新卒者と同等の処遇)」とすれば、要件に該当するため認められます。認められない具体例としては、「40歳未満の者を募集(○○業務の経験のある方を優遇)」とした場合は、職務経験を付しているため認められません。また、「20歳以上35歳未満の者を募(職務経験不問)」とした場合も下限年齢を設けているため認められません。

合理的な理由② 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定する場合(期間の定めのない労働契約を締結する場合に限る)

※相当程度=同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して社員数が2分の1以下である場合
※特定の年齢層=30歳から49歳までのうちの5歳から10歳までの特定の年齢幅

認められる具体例としては、「電気通信技術者として、30~39歳の者を募集(電気通
信技術者は、20~29歳が10人、30~39歳が2人、40~49歳が8人)」
認められない具体例としては、「電気通信技術者として、25~35歳の者を募集」は、年齢の範囲が30歳から49歳に収まっていないため認められません。また、「電気通信技術者として、30~39歳の人を募集 (電気通信技術者は、20~29歳が30人、30~39歳が15人、40~49歳が25人)」とした場合も上下の年齢層と比較して2分の1以下となっていないため認められません。

合理的な理由③ 芸術または芸能の分野(芸術作品のモデルや、演劇の役者)に関する募集・採用において、表現の真実性などが求められる場合

認められる具体例としては、「演劇の子役として、○歳以下の者を募集」とした場合は、
芸術または芸能の分野に入りますので認められます。認められない具体例としては、「イベントコンパニオンとして、30歳以下の人を募集」とした場合は、芸術または芸能の分野ではなく特定の商品・サービスを提供することが目的とされますので認められません。

合理的な理由④ 60歳以上の高齢者または特定の年齢層の雇用を促進する政策の対象となる人に限定して募集・採用する場合(国の施策を活用しようとする場合に限る)

認められる具体例としては、「60歳以上の者を募集」、「若年者トライアル雇用の対象
として40歳未満の者を募集」とした場合は、要件に該当しますので認められます。認められない具体例としては、「60歳以上70歳未満の者を募集」とした場合は、上限年齢を設けておりますので認められません。

冒頭で明記したように、原則としては募集・採用に関して年齢制限を設けることは認められませんが、上記の複数の例外要件に該当すれば、かなり限定的な要件になりますが認められることになります。今後は、少子高齢化社会を迎える中で労働人口が減少し、多くの企業で人材の確保が難しくなってくることと思います。その中で企業として生き残るための採用活動の中で必ず法律の制限がでてきますが本稿をその一つの参考としてご活用頂ければと思います。

(五十嵐 敏之)

◆セミナーにご参加いただいた皆さまの感想をご紹介致します◆


平成28年7月22日、東京本社にて「トラブル予防のための労働時間管理セミナー」を開催致しました。「仕事の質」が問われる現在、本講座では、原理原則をふまえて、労働時間管理方法の見直しや、工夫できるヒントを解説いたしました。

・変形労働時間制を取り入れることで、残業削減につながると思いました。
・未払い残業代の時効2年ということに関心を持ちました。
・実際の判例を交えて説明していただいたので、わかりやすかった。


平成28年7月28日、東京本社にて「将来に渡る勝ち残りの体制構築セミナー」~人材を人財に!編を開催致しました。自社の成長と継続を両立させていくには「強い営業構造と商品力を兼ね備えるとともに、経営管理の体制づくりと人材育成の体質維持を図ること」は外せない要素です。本セミナーでは、人材育成に焦点をあてて、筋肉質の会社になって頂くためのポイントを解説いたしました。

・OJTのポイントに関心を持ちました。
・コミュニケーションの重要性を再認識しました。今一度、がんばりたいです。
・教育計画について先ずは始めてみます。新入社員にやらせてみたいことを思いつきました。

☆ご参加いただきありがとうございました。
 ブレイン・サプライでは、今後も皆様のお役に立てるセミナーを企画してまいります。


『産業カウンセラーの視点から ③』

■社長の好奇心「99%満足」

先日、当社代表の岡と訪問先へ向かうためにタクシーに乗っていた時のことです。いつも移動中のすきま時間を利用して膨大なメールチェックや情報収集をしている岡ですが、突然「『99%満足』って、すごいな」と一言。とっさに何のことかわかりませんでしたが、私の目の前(運転席の後ろ)に貼ってある小さな広告のコピーが目に止まったようでした。
それは薄毛・発毛の広告で、「99%満足」という文字がひときわ大きく目立つようにデザインされているもので、広告自体はポケットティッシュくらいの小さなものでした。

いつも社長の好奇心旺盛なところや面白いと思うツボに感心します。なぜならこの引っ掛かりがたくさんあればあるほど、次の行動を起こすきっかけも必然的に多くなるからです。

■私たちが認知するもの

個性・個人差は、環境をどのように知覚(認知)するかに現れます。2人の人が並んで前方をまっすぐ見たとき、2人の目(網膜)に映った映像(網膜刺激)は、ほぼ同じと考えられます。しかしながら2人の認知するものは異なっています。なぜならば、私たちには意識があり、意識を集中したもの、注目したものを認知するからです。このとき、個人によって、注目しやすいものとしにくいもの(見やすいものと見にくいもの)があります。これを認知心理学では、「選択的注意、選択的不注意」と呼んでいます。すなわち、私たちは環境をありのままに受け取っているのではなく、選択的に受け取っているのです。

タクシー内で、2人が並んで前方を見た時、網膜に映った映像は同じであっても、一方は網膜に映った「99%満足」を認知・選択しており、もう一方は注目していなかったので、一瞬何のことか分からなかったということです。

■内的プロセスから行動へ

私たちが注目し、認知したものは、次のプロセスを引き起こします。それは、何かを感じたり(感情)、考えたり(思考)、何かをしたく(欲求)なる「内的プロセス」です。
例えば、駅に行く途中に誰もが必ず目にする大きな杉の木があるとします。
Aさん:「美しい杉の木だなあ。いつか絵に描きたい」
Bさん:「杉の木があったなんて気にしたことがなかった」
Cさん:「良い杉だなあ。売ればいくらになるんだろう」
Dさん:「花粉症なので、この木のそばを通らないようにしよう」

それぞれの内的プロセス(感情、思考、欲求)を経て、人は実際に行動を起こします。行動の仕方、そして実際に何をするかにも個人差があります。

同じ場所で同じものを見ているのに、着目する点が人によって異なるのは、当たり前のことかもしれませんが、自分とは異なる点に着目する人について考えてみるのはとても興味深いものです。

関西事務所
産業カウンセラー: 小山 菜穂子

(関西事務所:阪上文子・田宮チヱミ・佐藤多栄・小山菜穂子・中村千紗・永井真琴・島本浩平・阪倉陽子)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

~総務のメモ帳~


《介護休業給付金》

①支給率が変わります
  介護休業給付金の支給額は、これまで休業開始時の賃金の40%でしたが、
H28年8月1日以降に開始する介護休業からは67%の支給となります。
※平成28年7月31日までに開始した介護休業はこれまで通り40%を支給。
 ②賃金日額の上限額引き上げ
  介護休業給付金の算定基礎となる賃金日額の上限額がH28年8月1日以降に開始する介護休業から引き上げられます。

詳細はこちらのリーフレットをご覧ください

《厚生年金保険》

9月分保険料(10月納付分)から厚生年金保険料率が変わります
 厚生年金保険の保険料率は平成29年9月に18.3%で固定されるまで、毎年9月に段階的に引き上げられます。平成28年9月分(10月納付分)からの保険料率は下記のように改定されます。
・平成28年9月分から平成29年8月分まで  一般被保険者 18.182%
                     船員・坑内員 18.184%
(平成29年9月分以降は固定となり18.3%になります)


~都築 冨士男 様 (元LAWSONジャパン社長様)~

日々いろんな経営者にお会いする中で 『杉浦さんの目指す人、ロールモデルはあるのですか?』というご質問をたまに戴きます。その答えの方が、今月の都築さんです。 都築さんのご活動はいつも自分のロールモデルとして3つの【コト】 を大切にさせて頂いております。


◆現場を大切にする
◆人を分け隔てしない
◆時間を大切に(スケジュールに隙間を持たない)する

補足しますと、

◆現場を大切にする

都築さんは、私より一回り以上年上でいらっしゃいますが、私なんか足元に及ばないほど全国を飛び回っていらっしゃいます。 必ず現場に行く。行くからこそ見えてくる問題を、素早く解決できる。 いくつになってもこの現場感を大切にされていらっしゃいます。

◆人を分け隔てしない

大手企業元役員や元官僚等々、大きな肩書をお持ちだった諸先輩方々、 全てとは申しませんが、大方、上から目線の方が多い中、 都築さんは、全く人を分け隔てされません。特に若い方、女性の皆さんを大事にされ 、育てる目線を基本とされています。

◆時間を大切に(スケジュールに隙間を持たない)する

都築さんの口癖に、『スケジュールに隙間があると嫌なんですよねぇ! 』。空き時間やキャンセルがあると、電話する、会いに行くを常に実践されています。

この3つを日々振り返りながら、都築さんを思い浮かべ、しかも 笑顔で楽しく実践する都築さんの姿を見習う毎日です。

☆都築さんとの出会い

今から10数年前、北海道の大石農産さん  (HPはこちら) が大阪にお越しの際、私の企画で、農業についての勉強会を経営者向けに開催した際に、ご紹介で都築さんがお越しいただきました。その時、元LAWSONの社長さんをされていたとは知らない中で 私に、『あなたは良いことをしている、いつでも気軽に連絡してきなさい』と、仰って頂きながら、後から元社長でスゴイ実績をお持ちの方であったと知り、逆に私が尻込みをして連絡を控えていると、都築さんから、『今日会社にいる?』とワザワザ連絡を頂き、しかも会社までお越しいただきました。その行動力に感謝と尊敬をハッキリ衝撃として覚えています。この2度目の出会いから、かなり気軽に連絡を日々させて戴く関係になりました。この出会いでも分け隔てしない姿勢が勉強になりました。


☆都築さんのご経歴について

大学をご卒業後、当時【主婦の店ダイエー】に入社、主に仕入れ担当を長く行われ、30代半ばで、米国企業との合弁会社のNO.2としてハワイに駐在されていたことからも、当時のサラリーマンとしてご実績があられたと思います。 37歳の時に、ダイエー中内オーナーから、『帰国して、瀕死の状態のLAWSONを立て直せ!』ということで、社長に就任されることに。 結果、10年で80店舗だったLAWSONを3000店舗にされたという大きな実績を作られました。

社長時代のお話で心に残るのは、2つ。
◆まず新生LAWSON1号店をどこに開店したか?
それは当時ご自宅のあった枚方香里園に開店されました。理由は、会社に出社前にお店の状況が判る、同様に、帰宅してきた際にもお店に寄り、お客さんや店舗のバイト、パート、社員にヒアリングが出来る。
◆LAWSON本社付近に15店舗を出店していた!
都築さんが社長当時のLAWSON本社は、大阪の江坂にありました。その江坂駅付近の通り角のそれぞれに必ずLAWSONがあるという状況に。これも前述同様に、本社出社前に各店舗に訪問 、お客さんの声を直接聞く、その現場で働く皆さんとも会話をし、経営の課題を現場の声から解決する姿勢を感じ入った次第です。

都築さんは社長時代に商品開発にも実績を残されています。コンビニの業態を理解し、スーパーでは販売できない商材を数多く開発されています。「LAWSONアイス」。これもすぐに購入して、自宅ですぐに使用できるモノ、という仮説から販売されたそうです。今では、当たり前化している【水】を、大手飲料メーカーが販売をはじめた5,6年も前から、販売するに至っています。そして「からあげクン」です。これは、家電メーカーとタイアップしてフライヤーからコンビニ用に自社開発、大ヒットに至ります。商品開発に留まらず、そこから音楽業界との連携も生み出し、ありとあらゆる角度から事業創造に寄与する、横連携、展開を押し進めていかれました。まさにマルチな才能を経営に活かされた方です。その他に、権限委譲も明確に。出店速度が早く上手く行ったのは、現場担当者に権限委譲を行い、決済スピードを他社より一歩先に行く状況を創出されていました。

☆都築さんから学び大切にしているコト

3つのキーワードと3つの【I(アイ)】を教わり大切にしています。

◆3つのキーワード

・顧客満足度を高めるための【マーケティング】
・自力で解決できる企業は大手だけ(最近は大手も無理ですが)
自力で何でもやるのではなく、連携力を高めることが肝要。それが【コラボレーション】
・優れた事例をスタディ(勉強・学ぶ)そこから【ベンチマーキング】
ベンチマーキングが間違えば大きく方向性がブレることに。 このベンチマーキングで大事なのが3つのI(アイ)と教わりました。

◆3つの【I(アイ)】について

IMITATION(イミテーション)、IMPROVEMENT(インプルーブメント)、INNOVATION(イノベーション)この3つです。  
まずは模倣、真似てみる、良いと思った事をまずは模倣してやってみる  
そこから改善してみる。
改善の上に自分のモノにしてみて、創造し、新しい切り口に変化させる。

このキーワードとアイをPDCAサイクルに乗せて、グルグル廻す、実行実践するようにすれば結果がついてくるように思います。自分の仕事でも確信しています。


☆都築さんが現在注力されていること

今もチャレンジングに精力的に活動されている都築さん、その中でも大切にされているのが、【農業】と【介護】この2つです。 私も微力ながらチームに入れてくださっているのが【農業】。 全日本農商工連携推進協議会を発足して、中小企業、生産、加工、流通、販売を守ることで、地方を元気に農林漁業活性化に一役立てるように立ち上げた団体です。 こちらでは、セミナー、交流会、そして【農業応援隊】として情報誌も発行しています。
農業応援隊の詳細はこちら

もう一つの活動の【介護】。
こちらも情報誌、介護応援隊を発行されています。※介護応援隊の詳細はこちら

また大きなイベントに成長している【介護甲子園】にも当初から支援をされて、最近は経営課題の解決よりも日本の課題解決に奮闘されている状況です。

益々、ご活躍の都築さん、私からすると大きな背中が遠くに見えている感じ、少しでも近づけるように頑張りたいと思い、いつまでも追いかけていく存在です。


日々ご指導とご支援に感謝を込めて。

(代表世話人株式会社 杉浦 佳浩)



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