うつで休職中の社員への対応は?
Ⅰ.今回の課題
電波塔・通信鉄塔の保守、メンテナンスを行っている建設業のO社には、現場で若年者が多く働いています。これまで特段大きな労務問題はありませんでしたが、現場職の若年者がうつ病になってしまい休職してしまいました。会社としては初めてのうつ病休職者のため、どのように対応するべきかわかりません。
Ⅱ.経過報告
現在、社員のうつ病などのメンタルヘルスの不調は社会問題となっており、各企業も徐々にうつ病対策を講じるようになってきました。しかし、O社はその対策をたてておらず、対応に苦慮している状況です。
Ⅲ.今回の課題と対策のポイント
うつ病と診断された社員への対応はこれまで何度か述べてきました。
・連続の休職は認めないといけないか?(2011年7月号)
・メンタルヘルス不調者の職場復帰(2012年 8月号) 等
今回の場合、休職中の社員に対して、どのような対応が必要でしょうか。 休職は、社員がケガ・病気等で労務提供を出来なくなった場合に、労務提供を免除または拒否する事をいいます。ですので、基本的には自宅でゆっくり休んでもらう必要があります。ただし、休職期間中に会社として何もしないわけにはいきません。
会社としては、
①本人の健康状態の確認
②発生する社会保険料等の支払い
③復職の準備 等が必要になってきます。
本人の健康状態の確認は、毎月もしくは定期的に報告を受けるようにルール化することをお勧めします。精神的なプレッシャーを感じさせないために、原則は本人からの報告とし、あえて会社からは連絡を取らないようにした方が無難だと考えます。報告を受ける際には医師の診断結果等の提出を求める他、日常生活の様子も聞いておくことが重要になります。食欲はあるか、睡眠はとれているかなど一般的な生活を送れているかどうかも復職の大きな判断基準になると思います。そのうえで本人と相談しながら復職の準備を進めて行っても良いのではないでしょうか。その際には、本人の様子や面談内容等の記録を必ず文書で残すことをお勧めします。
また、うつ病を発症した社員の場合、途中で連絡がつかなくなる可能性もありますので、ご両親、親戚等の身近な方の連絡先を控えておくことも重要です。対応する会社としては、担当窓口をはっきりさせ、休職した社員が連絡をとりやすくすることも必要になると考えます。
先にも述べましたが、「うつ病」は深刻な社会問題となっています。後々のトラブルをできるだけ防ぐためにも、休職に入る前、休職中、復職時のルールを就業規則等で事前に決めておき、社員が休職に入る前に労使双方で休職期間中のルールを確認し、理解をしていただくことをお勧めします。
(五十嵐 敏之)
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