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~ホップ・ステップ・キャリアアップの道しるべ~

query_builder 2023/06/09
メンタル・キャリア カウンセラーの部屋
「技術革新によるビジネスモデルの変化」「終身雇用制度・年功序列型賃金制度の運用の難しさ」「平均寿命の延び」「人生100年時代」・・・により、昨今外部環境の変化は激しく、組織では環境変化に対応するため戦略や人事制度などの社内変革が求められています。また、その社内変革に対する社員個人の変化も求められており、会社の成長には組織とともに社員個人の双方の変化が重要になってきています。
しかし、『先の読めない社会情勢のなか、社員のモチベーションが日に日に下がっている…』そんなお悩みを抱える会社様も多いのではないでしょうか。その社員のモチベーションの低下は、現代に生じている様々な環境変化に適応できずキャリア不安に陥っているのかもしれません。
今回は、キャリア不安解消の取り組みを「プロティアン・キャリア」の理論とともに考えてみたいと思います。
【プロティアン・キャリア】
プロティアン・キャリアとは、米ボストン大学経営大学院で組織行動学や心理学の教鞭を執るダグラス・ホール(Hall,D.T.)が1976年に提唱した概念のことです。プロティアンという言葉の語源は、ギリシャ神話に出てくる、思いのままに姿を変える神プロテウスにあります。神プロテウスは、火にもなり、水にもなり、時には獣にもなったりするなど、環境の変化に応じて変幻自在に姿を変えます。変化に応じて、自分の意思で、自由に姿を変えることができるのです。その言葉にキャリアを掛け合わせて、ホールは、社会や環境の変化に応じて柔軟に変わることのできる変幻自在なキャリアとしてプロティアン・キャリアを提唱しています。
“The Carres is Dead” 
これは1996年ホールが出版した書籍のタイトルです。     
「キャリアは死んだ」この言葉には、従来型のキャリア(=伝統的キャリア)は消滅し、これからは異なるキャリアを模索する必要がある、という思いが込められています。
プロティアン・キャリアでは、キャリアは組織によってではなく個人によって形成されるものであり、移り変わる環境に対して、自らの欲求に応じて方向転換し、個人の心理的成功を目指すと考えます。ホールは、心理的成功のためには「アイデンティティ」「アダプダビリティ」が必要だと主張しています。
アイデンティティとは
「アイデンティティ」とは、自身の興味・価値観・能力などに対する自己理解の程度、および過去と現在と未来の自己概念の統合の度合いです。変化の激しい時代においては、個人は環境の変化に応じて変幻自在に自らのキャリアを合わせていくことが求められますが、これまで以上に自分自身の中にある軸はぶれないものである必要があります。さもないと、ただ変化して自分を合わせているだけとなり、心理的な成功感を得ることはできないでしょう。その軸となるのがアイデンティティであり、その成長のためには、十分な自己理解と過去から未来に至るまで統合的に一貫した自己像を持つことが必要となります。このようなアイデンティティは、下図に示されたように、新しい挑戦的な目標への意欲を高めるとホールは言っており、結果的に組織の目標達成にも貢献することにつながるでしょう。
ビジネスシーンであれば、「ビジネスパーソンとしての私らしさは何か」を意味します。大切なのは、自分らしく働いてアイデンティティを確立することと同時に、それが市場や組織から求められていること、この状態がもっとも理想的です。逆に言えば、社会的なニーズとずれたアイデンティティをよりどころにしても、ビジネスシーンでは歓迎されません。そのために重要になるのが「アダプタビリティ」です
アダプタビリティとは
「アダプタビリティ」とは、「環境や社会の変化への適応力」つまりビジネスシーンでは「組織の変化に順応する力」のことです。仕事にやりがいを感じて没頭できている人は、アイデンティティとアダプタビリティのバランスが取れたプロティアン・キャリアを形成している過程にあります。一方で、「いまのまま仕事を続けていいのか」とか「仕事のやりがいを感じられない」と思っている人は、アイデンティティとアダプタビリティが不均衡な状態に陥っているのです。
以下の4つを意識的、かつ継続的に行おうとする傾向およびその準備度であると定義されています。
ホールにとってキャリアの意思決定とは、人生一度きりの選択や大きな節目の選択ではなく、日常的かつ継続的な学習を意味します。そこで重要なことは、毎日生活の一部としてアイデンティティに関する情報を自己評価しながら、適応し続けることだと考えられています。だからこそ、組織内でキャリアを形成する個人にとって大切なものは、すでに組織の中に存在し、日常的に身の回りで活用することができる「天然資源」であると述べています。この天然資源として、挑戦的な課題(職務、チーム、タクスフォースなど)、フィードバック、発達支援的な人間関係(メンタリングなど)などが挙げられています。組織にとっても、これらの資源を活用する方が、実際の仕事を通じた個人の成長を促進し、個人を巻き込みながら組織の目的や戦略の実現に貢献することができると、ホールは考えられています。
考えてみましょう!
●ここで、43歳会社員の方のお悩みを見てみましょう。
皆様、いかがでしょうか。御社内にもこのようなお悩みをお持ちの社員がいらっしゃるのではないでしょうか。
組織の中で順調に昇進されてきましたが、自分自身のキャリアについて思考停止に陥っているようです。ここで、「自分らしさは何か」自分の軸を立ち止まって考えてみる機会を持つことが重要になります。そして自分の軸を実現するためにはどのように動くべきか、またその軸は自分の役割と会社の変化に適応しているかを検討してみると良いでしょう。
以上、プロティアン・キャリアについてですが、外部環境の変化に対して柔軟に自身をアップデートさせ、自分らしいキャリアを築いていこうとする意欲・能力が重要であり、時代が目まぐるしく変わる現代においては環境変化への理解と適応能力が欠かせません。昨今のDX化による社会情勢の変化により、キャリアアップにはリスキリングが欠かせないという考え方がありますが、中高年以上の社員が新たなスキルを学ぶリスキリングとともに、プロティアン・キャリアを合わせて意識付けしていくことをお勧めします。
また、現在は長寿化に伴い、人の働く年数は延び続けているのが現状です。会社としては、いかに社員に中長期的なキャリア戦略を促し、年齢に関係なく高いモチベーションで働いてもらえるかが求められています。
高いモチベーションを維持し成長を促すためには、社員個人のアイデンティティは何か、自分らしさは何か、自己理解を十分に促し、社員個人の軸に沿った仕事・業務に取り組むことができれば、個人のモチベーション向上となり、組織の活性化へつながるでしょう。
具体的にどのように取り組んでいけばよいかお悩みの場合は、是非弊社コンサルタントにご相談ください。

【参考文献】
木村周(2010)『キャリアコンサルティング 理論と実践』雇用問題研究会
渡辺美枝子(2018)『新版キャリアの心理学』ナカニシ出版
田中研之輔(2022)『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』日経BP
宮城まりこ(2002)『キャリアカウンセリング』駿河台出版社

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